令和7年3月、議会閉会後に県外調査に向かいました。
1.独立行政法人 国立文化財機構「奈良文化財研究所」
1.文化財の体系とは・・・・有形、無形、民族、」記念物、」文化的景観、伝統的建造物群、埋蔵文化財がある
① 法律は史跡、名勝、天然記念物の保存法(1919)と国宝保存法(1929)の統合・拡充による「文化財保護法」1950年に制定
② 史跡等の整備について
・「保存」「管理」を行うための施設の設置及び復旧・修理をはじめ、来訪者に向けての適切に「公開」「活用」する上で必要となる遺跡の表現、修景、利益等の諸施設の設置を含めた総合的行為と、とらえるとされているが、文化財保護法上の規定はない!
③ 史跡等の保護は保存と活用
史跡等の保存は、ⅰ)法的措置・史跡の指定、ⅱ)行政措置・指定地の土地の公有化、」保存活用計画の策定など、ⅲ)技術的措置・保存施設、防災施設の設置、伝統技術の継承、日常的な維持管理の措置等
2.平城宮跡の研究と保存の歴史
(1)平城宮跡
①平城京(710~784)現在の奈良市と大和郡山市にまたがる古代の首都。
中国の長安城を手本に、大小の道路で基盤目状に区画整理した。
・平城宮は都の中央北端にありました。
・平城京の正門である羅城門から平城宮の正門である朱雀門まで7幅75M
街路樹に柳、槐が植えられていた。
・人口10万人内、約6500人が平城宮の官人。
(当時の日本の人口600万人)現在の20/1
平城京はいかに巨大都市であったがわかる。
(2)平城京の保存運動
・初期の保存運動(明治28年~大正2年)棚田嘉十郎及び溝辺文四郎らにより行われた。
・後期は1963年に奈良県が管理団体となる。
1965~1968年奈良県が土壇の修復、盛土張芝、円路造成
1968年 文化庁、遺構展示館建設
1969年 文化省庁 平城宮跡資料館建設等・・・
(3)奈良研究所による整備(1970~2000年
・奈良国立文化へ研究所が、以前の文化庁奈良県による整備と管理を引き継ぐ
・平城宮発掘調査部に計測修景調査室設置、専門職を置き施行
・園路設置、高圧線、通信選の埋設土塁の造成、西面南門・西面中門の基壇整備、大膳職跡での建物表示、内浦築地回廊・東楼表示等が行われた。
(4)現在
特別史跡平城宮保存整備構想に基づく
・第一次大極殿院の整備地区の位置づけ
・第2次整備段階⇒中核施設としての大極殿院地区の復元など
国土交通省による整備
・国営飛鳥・平城宮跡歴史公園等の基本設計
古都奈良の歴史的・文化的景観の中で、平城宮跡保存と活用を通じて「奈良時代」今に感ずる空間の創出を目指している。
□山梨県県における活用策等について
・山梨県の文化財件数(R7.2.1現在)1587件
◇有形文化財877件
◇無形文化財9件、◇民族文化財170件、
◇記念物(史跡・名勝・天然記念物531件
◇重要文化的景観179件
○地域別文化財件数は、①身延町173件、②甲州市154件、④北杜市149件、⑤笛吹市136件とこの5自治体に全体の約40%の文化財が集中しおり、当該自治体はもとより県と自治体等の連携強化は不可欠であり、奈良文化財研究所での調査、研修成果を、今後山梨県内の文化財の保存・活用を通じ、地域の活性化対策、また文化財の保護活動、加えて防火・防災対策の充実に取り組み、県民等に対し情報発信による情報提供を促進していきます。
2.NAFIC なら食と農の魅力創造国際大学校
NAFICが育成を目指す、技術力、経営マネジメント力、マーケティン力などの「5つの力」は、まさに「農」を経営と捉えた新しい考え方であり、本県にとっては、全く未知の分野のため、今後大いに参考にしていきたい。
「フードクリエイティブ学科」&「アグリマネジメント学科」の内容と実践プログラムは、常に「世界」を視野に入れて編成されており、従来からの大学のイメージを根底から覆す教育が実施されていた。今後大いに参考にしていきたい。
3.未来医療推進機構「中之島クロス」
未来医療国際拠点 Nakanoshima Qross は、大阪大学の医学部キャンパスが移転した跡地に整備された複合施設で、地上16階、高さ86m、延べ床面積は約57,000㎡ある。
大きく3エリアに分けられ、1・2楷は「未来医療の共有」を謳うカンファレンスセンターおよび交流ラウンジの「中之島国際フォーラム」、東館は「未来医療の創造」を謳う産学医連携の複合研究施設「未来医療R&Dセンター」、西館は「未来医療の実践」を謳い病院・診療所が入居する複合医療・健診施設「未来医療MEDセンター」で構成されている。
大阪府と民間企業21社の出資による未来医療推進機構が運営し、現在48企業・団体・医療機関が会員として入居。京都大学、大阪大学、iPS細胞研究財団などの連携による再生医療の先進的研究と併せて、ゲノム医療や人工知能(AI)、IoTの活用など先端医療に対応した治療が受けられる医療機関も含まれ、相互の連携による実用化を目指している。
また、医療機関や製薬会社、機器メーカー、大学研究室や行政が一か所に集まり、相互の連携により人材・スタートアップ育成の循環を図る、育成エコシステムを目指している。
会員に対しては、市場ニーズや研究機材の提供、細胞の品質管理や輸送手段の提供、プラント製造や特許・著作権など法務サービスの提供など、市場探索から研究開発、製品化までに必要な情報・機能をワンストップで提供するサポート窓口を用意すると共に、クオリティ評価研究会やアントレプレナーシップ研究会を開催し、会員間の情報交換を進めている。
「イワタニファインガス」では液体水素の保管と輸送、併せて生体サンプルなどの極低温輸送技術、装置国産化への取り組みの説明を頂いた。
「日立プラントサービス」では、日立グループの未来医療ソリューションの説明を受け、ショールームにて再生医療用キャビネットの清浄度確保デモンストレーションや、細胞培養作業をバーチャル空間で学べるVRソフトなどの体験をした。
「大阪滋慶学園・滋慶医療科学大学大学院」の教育・研究開発センター(滋慶中之島センター)では、細胞培養室、クリーンルーム、暗室、低温室などが設置された実験室エリアを所長に案内して頂き、研究者育成の充実した環境を見せていた。
人材育成エコシステムや、スタートアップ支援の具体例はまだこれからとのことだが、山梨県が目指す取組みとの共通点も多く、異業種の技術者、研究者が共通の目標の下に近い距離で交流して情報を交換し、人材育成エコシステムをつくる手法は本県においても様々な分野にフィードバックしていきたい。
4.山梨県大阪事務所
大阪市北区梅田1丁目という大阪駅前の一等地のビル内に所在している山梨県・大阪事務所は、ビル内に入ると大阪事務所が入居する21階までの道順が分かりづらく迷いながらの到着となりました。
印象としては来訪しやすい雰囲気ではなく、例えば一ヶ月に一体どれくらいの来訪者がいるのであろうかと、気になるところである。
短い滞在期間ではありましたが、堀内所長から山梨県・大阪事務所の概要等について聞き取りと意見交換をし、山梨県・大阪事務所の更なる活用のために以下のことを提案し、本県に戻ってからも問題提起をしていきたいと思います。
・山梨県人会や山梨県出身者が在籍する企業を辿り、活発な対外PRをしてはどうか?
・富士山が近い自然に囲まれた暮らしの良さを宣伝し、移住・定住に
つなげる新しい工夫をしてもらいたい。
・日本一の桃や葡萄の産地として県産果実の知名度、美味しさを広める販売促進の拡充。農林水産省令和6年産 葡萄の結果樹面積、収穫量及び出荷量調べによると、大阪府から山梨県よりも近い岡山県は全国3位とあり、府民の間でも大阪府では葡萄の産地といえば、岡山県という声も多いそうだが、山梨県産葡萄も素晴らしい新品種があるので是非、山梨県・大阪事務所からも活発な情報発信を期待しつつ、本県議会からも後方支援を模索したい。
フォーラムは、水素関連企業や自治体の関係者ら約650人が参加して開催された。会場では冒頭、大阪・関西万博の海上運航に使用される、国内初の旅客運航向け水素燃料電池船「まほろば」が映像で紹介された。
講演では、資源エネルギー庁の水素・燃料電池戦略室長による水素を巡る最近の動向をはじめ、大阪・関西万博での脱炭素の取り組みや、カーボンニュートラル・水素普及に向けた企業の取り組みなど、様々な事例が紹介された。社会実装における課題や今後の方向性など、水素立県を標榜する本県にとって参考になる知見を得ることができた。
本県としても、水素活用の普及促進に向けた国の動向を注視しながら、着実なノウハウの蓄積と水素関連産業の育成を図っていく必要がある。