富士山登山鉄道構想に関するアンケート(山日新聞)回答

 7月1日(月) 山梨日日新聞に掲載された、富士山登山鉄道構想に関するアンケートの設問と会派メンバーの回答をご紹介します。

 設 問 

 問① 富士山のオーバーツーリズム(観光公害)を巡る来訪者管理は必要か?
□ 必要
□ 必要ない
□ どちらとも言えない

 問② 山梨県の富士山登山鉄道構想(以下構想)について。麓と5合目を結ぶ富士山有料道路(富士スバルライン)に次世代型路面電車(LRT)を整備する構想に現時点で賛成か、反対か?
□ 賛成
□ 反対
□ どちらとも言えない

 問③ 構想について、山梨県のこれまでの議論の進め方は適切と考えるか?
※山梨県は2019年~20年に開いた有識者による検討会で構想の骨子を取りまとめ、21年2月に構想を公開。昨年11月から今年5月にかけて地元説明会や県政課題説明会で構想について住民に説明。今後は富士北麓地域で座談会形式の説明会を開く計画です。
□ 適切
□ 適切でない
□ どちらとも言えない

 問④ 山梨県が今夏から行う一日の上限4千人、1人2千円の通行料徴収、午後4時~翌日午前3時にゲート閉鎖などの富士山登山の通行規制に賛成か、反対か?
□ 賛成
□ 反対
□ どちらとも言えない

問⑤ 山梨県が富士山の登山規制の一環として登山者から徴収する通行料2千円について、金額は妥当と思うか?
□ 妥当
□ 高い
□ 安い
□ どちらとも言えない

  回答一覧   

 


 ① 来訪者管理  ② 登山鉄道構想  ③ 構想の
進め方
 ④ 通行
規制
 ⑤ 通行料2000円
 土橋亨  必要  反対  適切 どちらとも
  言えない
どちらとも
  言えない
 清水喜美男
 必要  反対  適切でない
 賛成 どちらとも
  言えない
 古屋雅夫  必要  反対 どちらとも
  言えない
 賛成 どちらとも
  言えない
 笠井辰生  必要 どちらとも
  言えない
どちらとも
  言えない
 賛成  妥当

 

 回 答  

 土橋亨 

① 必要 (確認中)
② 反対  なぜ鉄道なのか。1400億円を掛けることに県民に納得できる説明ができるのか。これからも発生しうる雪崩や大地震、土砂崩れなど大自然の脅威に対する安全対策も全く考えていないと思う。
③ 適切 (確認中)
④ どちらとも
言えない
(確認中)
⑤ どちらとも
言えない
(確認中)

 

 清水喜美男   

① 必要 (1)「世界文化遺産富士山」は、先代より脈々と受け継がれてきた唯一無二の宝であり、これからも未来永劫に保存継承していかなければならない「かけがえのない世界の財産」である。
(2)イコモスからの指摘事項を改善するためにも、来訪者管理は必要と考えるが、その手段・方法については、多面的視点からの詳細検討が必要である。
② 反対 (1)「なぜLRTが移動体としてベストか?」~この疑問に対し、県民が納得できる答えが提示されていない。
(2)総工費1400億円は、どのような裏付けによるものか、その内容が全く不明である。
(3)富士山のような急斜面を走行しているLRT実績は世の中にない。こうした斜面走行に対する技術面や安全面が全く未検討である。
(4)LRTのカーブ走行には広い面積が必要であり、現状のスバルラインでは曲がりきることができない。そのため新たな路面道の敷設が必ず必要となるが、このことが全く未検討である。
  ➡総工費も大幅に変わるはず!!。
(5)駐車場を廃止し景観保全を図る~との説明であるが、LRTの走行に必要となる広大な車両基地はどこに構築するのか~などにつき、全く未検討である。
(6)過日発生した「スラッシュ雪崩」や「富士山大地震」「土砂崩れ」など、大自然の脅威に対する長期的安全対策が全く未検討である。
③ 適切でない (1)県民に提示した構想案が、当初から「LRTありき」の一方的な内容であったため、議論の余地が全くなく、進め方自体が最初から大きく間違っていた。
(2)LRTについて、地元説明会と県政課題説明会での内容が余りにも相違があり、違和感を覚えた。世界の富士山でもあり、山梨県民の富士山でもあるため、27市町村全てにしっかりと説明すべきであった。
  ➡「県民の税金」~という公平な考え方が欠如している!!。
(3)電気バスやLRT、燃料電池トラムなど、考えられる幾つもの移動体を、技術的側面や安全性、コスト面など、多様な切り口から比較検討した「比較マトリックス表」が、県民に説明する上では最も必要であるが、この比較表の提示が無く、当初から「LRTありき」の説明に終始したため、県民の理解を得られることはなかった。
  ➡県民を余りにも見下している進め方である!!。
(4)「電気バスのタイヤからは粉塵がでるため、環境的に好ましくない」~など、ビックリするような不可解な説明をしていたが、残念な見解である。
  ➡今回の議論は、20年後、30年後に向けての議論であり、現代の凄まじい技術革新を考えれば、粉塵課題は容易に解決できるはずである。
  ➡具体的には、月探査ロボットで使用したタイヤが急速にコストダウンされ、近い将来日常的に使用されるはずである!!。
(5)富士山が、「世界自然遺産」ではなく、なぜ「世界文化遺産」であるのか?
  ➡このことに対し、どのように向き合おうとしているのか全く見解が全いことは、極めて大きな問題と考える。
  ➡「心の拠り所富士山」「信仰と芸術の源泉富士山」~今回の議論の要点は、ここにもあるはずである!!。
(6)「LRTの推進エンジンを給電方式とする」~との説明に言葉を失った。
  ➡いま山梨県の重点推進施策に「P2Gシステムの世界制覇」がある。にもかかわらず、何故この「P2G水素エンジン」をLRT推進エンジンとする計画がないのか、全く理解に苦しむ。
  ➡「山梨県の総力を挙げての一大事業」ではないのか?。
④ 賛成 (1)オーバーツーリズム対策として、何らかの通行規制は必要と考える。
しかし、上記のような具体的数字の規制内容が妥当か否かは、改善効果が予測で
きないため、判断がつかない。
(2)この規制により、登山者の価値観が変化したり、行動様式が変化することも予測されるため、より判断が難しい。
(3)しかし、規制内容を具体的に数値化して試行を繰り返し、段階的に管理レベルを上げていこうとしているのであれば、理解はできるため、そうした意味において賛成である。
⑤ どちらとも
言えない
(1)他国の事例からみても、通行料を徴収すること自体は必要と考える。
(2)しかし、通行料自体、どのような費目で成り立っているのか全く判らないため、2千円の金額についても、その妥当性を判断できない。(※1)

 

 古屋雅夫 

① 必要  世界の山(世界文化遺産)・信仰の山「富士山」を未来・子々孫々につなげていくため、今を生きる私たちの義務がある。
② 反対  地元・富士吉田市等の自治体・住民のコンセンサスが完全に得られてないこと。
 LRTの整備費用約1400億円の投資と効果、県民が納得できない膨大金額に疑問!
 ※その金があったら地域がもっと活性化できるとの声が多い。
 すでにLRTの推進ありきで調査費6千万円余を計上し邁進しているが、スバルラインの自家用車等の規制は、「道路交通法改正」が必要とのことだが、この点、自民党籍を持つ知事として、正に政権与党・自民党に積極的に働きかけによる法改正が必要。残念ながらその努力が見えない。世界文化遺産「富士山」は日本の宝である。それを守るため国をあげた道路特区(スバルライン)によりシャトルバス(電気)による運航は、環境保全・経費面でも有効であり、将来的には山梨県が実証実験をしている水素燃料の活用を視野に入れた取り組みが重要である。
 LRT構想は海外からも「反対」のメール等が寄せられているようだ! 数はわからないが、こうした点も考慮しなければならない。
 また地元鉄道会社等交通事業者との連携が見えない。など・・・多くの課題があり早々に議論が熟されていない!ことから結論を急ぐべきでない。
③ どちらとも
言えない
 全県における説明会は我が会派「未来やまなし」が提案し、実施することとなった。一定の評価はする。
 富士北麓地域だけの座談会形式(少人数)の説明会をなぜ開くのか?
 そこまでLRTにこだわる理由!よくわからない!
④ 賛成  金額の問題ではない!富士山の環境保全、登山者の安全を守るため、県はこれまで多額な県費を投じ、様々な対策を講じてきている。個人負担無しに越したことはないが、現状の登山者は県内外、海外を含め506万人(2019年)を超え、来訪者のコントロール必要であり、価値ある世界遺産「富士山」に上る通行料の個人負担は有ってもしかるべき。
 なお、使途を明確にして説得力あるもの通行料なら多少高くても理解されるのでは?
 ゲート閉鎖時間はメリハリ、安全確保の点から一定の規制は必要と考える。
⑤ どちらとも
言えない
 通行料についてはおそらく地元のお土産屋、山小屋組合など富士山関係者の意見を聞いて、決めたと思う!それが、高い、安いとかの議論は難しい。(※1)

 

 笠井辰生 

① 必要  トイレやごみ処理ほかの衛生環境や夏季混雑による過大な環境負荷の現状からは、ライフライン未整備のままの富士スバルライン五合目には早急なる対策が必要と考えます。
② どちらとも
言えない
  2021年2月の富士山登山鉄道構想検討会の報告書「4.3.登山鉄道の技術的課題の検討」に記されている課題に対して、解決の方策が未だに示されていないため現時点では構想の是非を判断できません。
③ どちらとも
言えない
 将来を見すえた大きなプロジェクトの提案であり、賛否両論はあってしかるべきと考えます。本構想を通じ多くの方々に富士山の抱える課題を知って頂きました。一方で本構想は持続可能な世界文化遺産の保持という大目的に対する手段の一案であり、2021年2月の富士山登山鉄道構想検討会の報告書「4.4.登山鉄道と併せて検討すべき課題」についても並行して議論が深まるよう願っています。
④ 賛成  弾丸登山や軽装での登山、焚火・野宿を行う者など、周囲の迷惑や危険を厭わない入山者が増えている現状からは、規制せざるを得ないと考えます。
⑤ 妥当  規制の維持管理に見込まれる諸経費をもとに算出されており、初年度の設定としては妥当な金額と考えます。(※1)

※1: 通行料2,000円の算定資料は、令和6年度2月議会の農政産業観光委員会の要求資料で示されました。(全議員には周知されませんでした。)ざっと、諸経費約3億円を見込登山者約15万人で割った額です。



 (下記画像は 山梨県の富士山登山鉄道構想パンフレットより  )