【山中湖畔の県有地問題】
ようやく適正な賃料の交渉へ
山中湖畔の県有地の賃貸借契約が、有効か無効かを争った訴訟の判決は、甲府地裁(一審)、東京高裁(二審)ともに「有効」で、無効を主張し損害賠償等を求めた県の訴えは棄却され敗訴となりました。
一審の判決文には「造成等のコストに加え、別荘事業等で損失のリスクを負うので、不動産の価値上昇の利益は原告(富士急行)のもの」「造成に伴うコスト・リスクを負っていない賃貸人(県)が不動産の利益を享受するのは不相当」などとあり、鑑定・合意額がいくら安くてもハンコの押された契約を有効とするのはまだしも、土地を借りて転貸商売をした儲けを地主に渡すのはけしからんという理屈は理解に苦しみます。この判決のままでは、これまでの議論がムダになり、将来的な賃貸料交渉に差し障りかねないため、私たちは控訴に賛成しました。
二審の判決文では「素地価格による安い賃料を基準に算定された継続賃料は、貸付料の評価として相当ではない場合もあり得る」「別荘地の開発による付加価値は被控訴人(富士急行)に帰属すべきだが、不動産価値の増加分は所有者(県)に帰属すべきもの」「再契約の際に、新規賃料と原稿賃料の間に乖離があり、本来、諸事情を総合的に勘案して適正賃料額を算定すべきといえる」などと判示されたため、今後は裁判という対決の場を離れ、両者による適正賃料額の交渉に移ります。控訴すべきとした「未来やまなし」の判断が双方を話し合いのテーブルに戻し、未来志向の決着に向けようやく動きだしました。